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第9話 抱きしめられて①

Author: 葉山心愛
last update Last Updated: 2025-11-05 06:55:59

仲森さんからすれ違い際に言われた言葉が耳から離れない。

『話しがある。仕事が終わったら待ってて』

話……?話って一体……?

昔のこと……?それとも……

まさか仲森さんから呼び止められるなんて、思ってもみなかった。

わたしの顔なんて、見たくなんかなかったはずなのに。

それからは彼が言った言葉が気になって仕方がなかった。

何を言われるんだろうと不安な気持ちでいっぱいになり、仕事に身が入らなかった。

「麻ー菜ー!!」

閉店後、またいつものような盛大な呼び声が聞こえて、ジョンが勢いよく向かってきた。

それを難なくかわすと、ジョンが転びそうな勢いのまま壁に激突しそうになる。

ジョンのお陰で反射神経が高まった気がする。

「麻菜ぁ、急に避けるなよぉ。もう少しでぶつかるとこだったじゃんかぁ」

「毎度毎度、アンタは何なのよ。わたしに突進してきて」

「え~?いいじゃんかぁ。僕と麻菜の仲だしぃ~」

「どんな仲よ。それと勤務中は麻菜って呼ぶなってあれほど言ったじゃない!」

「麻菜ちゃん、もう仕事終わったんだけど?」

減らず口を叩くジョンを睨みつけ、足を思い切り踏んだ。

すると、顔をしかめながら踏まれた足を上げて、ケンケンを繰り返すジョン。

「いってー!何すんだよー!」

「何するって自業自得でしょう?あれは、勤務中ってことは職場ではって意味も含まれてるに決まってるじゃないの」

「そんな決まりはないもーん」

拗ねた顔でジョンは言った。

そんな顔しても全然、可愛くないんだから……

「はいはい。アンタには、はっきり言わないと分からないんだったわ
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